3月に下北沢のAlternativeフェスで初めて観たカネコアヤノ。その後「愛のままを」の7inchを買ったり、パンダ音楽祭でまたライブを観て魅了されたり、最近は「燦々」のLPを買って聴いたりしていたが、単独のライブを観に行くのは今日が初めて。
最近、特に「燦々」のリリース以降はカネコアヤノの曲をずっと聴いている。今まで音楽を聴く時に常に歌詞を意識するということはなかったのだけど、この人の曲は歌詞を伝えるために歌があるような気がして心に残る。そしてその一つ一つの言葉がとても素敵で、自分にとって日々の生活を豊かにしてくれる「お守り」みたいになっている。
江古田という場所は今住んでる場所からはとても近いようで、でも今まで一度も行ったことがなかった。代官山や南青山もそうだが、ライブは普段行かない場所に行くきっかけになるという意味でも楽しいものだったりする。そして今日は学園祭でのライブ。大学を卒業してから、母校の学園祭に一度足を運んだきりだったので、大学生の若々しさとパワーを見せつけられて、自分も歳をとったなとしみじみしてしまう。
開演。大きな舞台にはギターと椅子と譜面台があるのみで、そこに黒いドレスを着たカネコさんが登場する。靴を履いていなくて裸足なのも余計なものがないシンプルな美しさが際立つようで素敵だ。一曲目は燦々の初めの曲でもある「花ひらくまで」。CDよりも力強い歌声と表現が心にずんと響く。
本当はここからライブレポを書いていくのだけど、今日のライブを観て思ったことは一つ。カネコアヤノのライブは「歌と詞」が全てで、あえて何かの情報を加える必要がない。それをただただカネコさんが全力で表現して伝えてくれる場所なのだ。でも、だからこそ大好きな曲はもちろん、CDを聴いていた時にはあまり意識していなかった曲の歌詞のフレーズまで、光の粒みたいにキラキラと際立って届いてきて、あぁやっぱりこの人の表現が好きだなと改めて感じた。
これだけだともうライブのメモでもなんでもなくなってしまうのでアンコールの様子を。椅子に座ったカネコさんが譜面台を見ながら渋い顔をすると、それが可愛くて笑いが起こる。独り言のように「どうしよう何やろっかな」と呟くと会場から「マジックペン!」と声が上がり「できない」と一蹴される笑 「じゃあ一曲だけ。燦々という曲をやります。」
燦々はここ数週間、大袈裟じゃなく毎日聴いている曲。カネコさんの曲には「太陽」というフレーズがよく出てくる気がするのだけど、人間は単純な生き物で、陽の光があるかどうかだけで一日の気分が大きく変わったりする。でもだからこそ日々「燦々とした気持ち」でいたいなと思う。そして力強く綺麗なカネコさんの「美しいよ僕らは」という言葉には説得力があって、自分ももう少しだけ強く生きてみようかなと思ったのだった。
◼︎セットリスト
01.花ひらくまで
02.カウボーイ
03.光の方へ
04.エメラルド
05.ゆくえ
06.朝になって夢からさめて
07.ポップなおんな
08.春
09.かみつきたい
10.グレープフルーツ
11.アーケード
en.燦々