らいぶにっき

行ったライブの備忘録です。記憶を辿って書いてるので内容は正確ではないです。

2020.1.13 神聖かまってちゃん@Zepp DiverCity

神聖かまってちゃんのツアーファイナルに行ってきた。このライブを最後にちばぎんが脱退するというのはかなり前から知らされていたし、正直始まるまでは事情も事情だからしょうがないんだろうなというくらいの温度感で捉えていた。でもいざライブが始まると今までになくめちゃくちゃに感じるものがあって気づくとボロボロに泣いていた。

かまってちゃんのライブを観るとどうしても話が自分の高校生の頃まで戻ってしまうのだけど、当時の自分にとって、かまってちゃんは、その衝動でどこまでも突っ走ってくれるんじゃないかという、未知の力強さやパワーを持った存在だった。無鉄砲でライブ中にマジ喧嘩するし、時間が来てもMC続けようとするし、テレビに出ても真面目に歌ってくれないしで、どうしようもないんだけど、でもそのパワーに日々助けられてたし、それが希望で憧れだったのだ。だから、自分が特に辛い時に聴いてたアルバム「8月32日へ」の収録曲を聴きながら、同窓会に行ったみたいに色々と昔のことを思い出して、今の自分と比べてみていた。

神聖かまってちゃんの曲に「いくつになったら」というのがある。ローソンでバイトしながら、いつか俺は世間に存在を見せてやるんだ、という売れないバンドマンの歌。これを実際に大きな舞台で観客に囲まれながら歌うという、サクセスストーリーをそのまま体現するの子の姿に当時の自分は痺れていた。でも今のかまってちゃんは正直すごく売れているわけではない。現にちばぎんの脱退は家族を支えるために今のお給料ではやっていけないというのが理由だ。

でも一昨年「33才の夏休み」を聴いて、今の神聖かまってちゃんはそんな状況だからこそ逆に、当時よりも、もっともっと何倍も魅力的なバンドになっているということに気付いていた。上手く言葉にするのは難しいけど、あの頃の衝動はそのままに、でもぶつける先とかぶつけ方がいい方向に向いているようなイメージだ。今のライブを観ると同窓会に行って「色々あったけどお互い年取ったね」ってちょっと恥ずかしがりながら言い合うような、そんな気分になる。

ただ、の子は大人にはなったけど夢をあきらめてない。人間、歳を取って丸くなることはあっても、本質は変わらないのだなと改めて思う。自分の心の中にある衝動に突き動かされて、それを表現するの子はやっぱり自分にとってヒーローのままだった。そして久々にかまってちゃんの鬱屈とした曲を聴きまくったら、今の自分は悲しい気分にならなくなったのではなくて、鬱な感情を見ないように蓋をして、楽しいフリだけして生きてるということに気付いた。思い返すと今も嫌なことは日常に溢れてる。悲しいこととか、どうにもならないこととか、そういうなかったことにしてきた不満たちがライブを観ていたら全部解放されてしまって、ずっと目を背けてきた自分がとてつもなく情けなくなる。そして目に涙を浮かべながら「ぺんてる」を歌うの子とちばぎんを見ていたらもうどうしようもなく泣けてきた。本編最後の曲は「2年」。昔から好きで聴いていた曲だったけど『若い時は僕はもっとやってやれるような気がしてたんだ』とか『2年後に2年前の今の僕らを笑い飛ばせるように』って歌詞が今のバンドの状況とか自分自身と重なって、歌詞の通り涙が溢れて止まらなくなってしまった。

アンコール。なかなかメンバーが現れないのはこのライブの終わりがちばぎんの卒業を意味するからだろう。でももちろん自分を含め観客はアンコールを止めない。「ちばぎん!ちばぎん!」というコールが続く中、走って登場してきて「お前らふざけんな!俺が主役だ!!」と前面に躍りだすの子。やっぱりかまってちゃんはこうじゃなきゃなと思う。そして「ロックンロールは鳴り止まないっ」「フロントメモリー」を皆で合唱すると自然と元気が出てくる。かまってちゃんの曲はどこか切なくて、でも楽しいのだ。

Wアンコール。今日のセトリはちばぎんが組んだものだが、最初に案が送られてきた時は「怒鳴るゆめ」がラストの曲だった。ただその後にちばぎんが何度も悩み抜いてこの曲を最後に持ってきた。それが「23才の夏休み」だ。そして演奏中のサプライズ。の子が幼稚園の頃にちばぎんのホームパーティーでこっそりパクったキラカード(の子曰くちばぎんから託されたカード)、これを今日のために何とか探し出して持ってきていた。ただの子は2枚パクったのに、そのうちの1枚が見つからなかったから、と持っていたレアカードを付けて2枚分をちばぎんの背中に貼り付けた。「23才の夏休み」での子が追いかけていたのはちばぎんの背中だったんだよね。

最後まで歌い終わっても「終わらせねー!」と無理やり演奏を続けるの子。さらにとうとうそれも終わってしまうと「怒鳴るゆめ」をアカペラで歌い出す。ちばぎんが悩み抜いたというセトリ構成とか全部無視して、予定調和なんてなくしてしまう無茶なかまってちゃん。でもの子が一番よくわかっているはずだ。今日何度もMCで言っていたこと。いつか終わりはくる。人間は平等に死ぬ。そして絶対その時後悔する。でも少しでも後悔しないように今は全力を出せよ、と。

続けられる限り往生際悪く音を鳴らし続けたの子。でも昔みたいに喧嘩してまで続けたりはしない。名残惜しそうで、でも晴れ晴れとした顔をしたメンバーみんなの顔がすごく綺麗だ。最後、の子はちばぎんに「奥さんとか子供に毎日愛してるって言えよ!!」と言い残していった。神聖かまってちゃんはいつの間にこんなに愛に溢れたバンドになったのだろう。でもやっぱりどんな曲を歌っていてもその根底に愛がなければ、こんなに長いこと支持されないし、バンドも続けられないのだろう。本当に心の底からこの場に立ち会えて良かったなと思うライブだった。

 

◼︎セットリスト

01.怒鳴るゆめ

02.るるちゃんの自殺配信

03.ゆーれいみマン

04.日々カルチャア

05.夕暮れの鳥

06.映画

07.夕暮れメモライザ

08.毎日がニュース

09.レッツゴー武道館っ!

10.肉魔法

11.おやすみ

12.夜空の虫とどこまでも

13.Girl2

14.バグったのーみそ

15.塔を登るネコ

16.ぺんてる

17.2年

en1.天文学的なその数から

en2.ロックンロールは鳴り止まないっ

en3.フロントメモリー

en4.23才の夏休み

en5.怒鳴るゆめ

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