らいぶにっき

行ったライブの備忘録です。記憶を辿って書いてるので内容は正確ではないです。

2019.04.27 折坂悠太(合奏)@渋谷WWW X

GW初日。今年の連休は天気が良くないという前評判通り、曇り空で風が冷たい。雨が降っていないのは唯一の救いだ。急な寒暖差にやられたのか体調が万全とは言い難いが、楽しみにしていた平成最後の折坂悠太を観るために渋谷へ向かった。今日はFRESINOさんのファンの方も多いからか、いつもより全体的に観客の年齢層が若いように思う。自分と同じように「平成」生まれも多いだろうなーと考えながら開演を待つ。

先行は折坂さん。ほのかな照明に照らされた中にバンドの演奏とハミングが響き渡る。

 

01.逢引

一曲目は逢引。やはりこの曲を聴くと一気に開放感と高揚感が滾る。台詞部分では観客の煽りが入り、それに応えるように気持ちよさそうに叫ぶのがまた良い。

 

02.みーちゃん

生で聴くのが初めての曲。これを聴くと子供の頃の漠然とした、でもすごく大きく不安な気持ちを思い出す。親が買い物に出たきり帰ってこないのではないかとか、部屋に飾ってある日本人形が急に動き出すのではないかとか。今となっては日常生活では触れることがなく、もはや夢の中でしか体験することのない、畏怖の念のようなものを、幼少期にタイムスリップしたかのように目の前に感じた。

 

03.丑の刻ごうごう

04.夜学

ドラムに合わせて折坂さんが激しく動き回り、サックスのハラナツコさんが登場する。ペットボトルをサッと手に取り水を飲むと蓋を閉めずに置いてまた激しく動き回る折坂さん。(こぼさないだろうかと少し心配になる笑)

こんな激しい曲あっただろうかと思ったのも束の間、大好きな「夜学」だと気付く。ここ最近は昼に開催のライブが多かったがやはりこの曲は夜に似つかわしい。スピード感と折坂さんの口ずさむ歌詞が相まってとてつもなく格好良いなと思う。そして「いつ君が来てもいいように、ボトルのフタを全て空けておきました。」という歌詞にハッとさせられた。

 

05.take 13

06.さびしさ

07.平成

何度もこれがラストではないかと思いながらライブに行くというのを繰り返してきたが、今度こそ本当に平成の世に聞くラストの「平成」。「幸、おれたちに多くあれ」という願いが会場全体を包み込んだように思う。

 

08.抱擁

前にも書いたがこの曲は合奏形態だと何倍にも強化されて心に届いてくる。極上のリラックスという感じで体調の悪さが芯から良くなっていくような気すらしてしまう。音楽の持つパワーを改めて実感した。

 

09.光

10.あさま

折坂さんの曲の素晴らしさは、悪天候の渋谷という都心の空間にいながら、全く正反対の、晴天の山野にいるような心地よさが、その音楽から生み出されるところにあるのだと思う。決してPVの映像に引っ張られているわけではなく、その歌詞と声と演奏が、風景や感覚に根付いてる故なのだと考える。軽く森林浴をしたような幸せな感覚に包まれた。

 

途中のMCで、折坂さんとFRESINOさんはすごく大まかには同じような位置にいるかも知れないが、根ざすところは違ったり、でもそういう違うものに触れて「いいな」と思うのはすごくいいという話があった。そしてそんなことが別の形やベクトルでも起きるといいな、と。自分はFRESINOさんのようなジャンルは今まであまり聞いたことがなかったが、実際ライブを観るとすごく面白いし格好良かった。こうして対バンで色々なジャンルを知れるのは良いことだし、毛嫌いせずにまずは色々と見たり聞いたりしていこうと改めて心に誓った。

2019.04.13 折坂悠太(合奏)@下北沢440

学生の頃は大学から近かったこともあり下北沢に寄ってスープカレーを食べたり、服を買いに行ったりしていたが、最近は行くことも少なくなっていた。そのせいか駅に着くと様子がすっかり変わっていて驚く。駅のそばの狭い路地に並んでいた良い雰囲気の飲み屋も全て跡形もなく消え去っていて少し寂しい気分になった。

440は戸川純がゲストで出演したトリコミのライブで何度か訪れており、比較的少人数で椅子に座ってゆったり見られるからお気に入りの会場。ここに最後に来たのは後藤まりこのライブの時だと記憶していたが、調べると実に5年前で月日の流れの速さを感じてしまう。

 

先行は折坂さん。出てきて早々に深々と頭を下げてお辞儀をするのが印象的。グレーのネックシャツの上に緑色のシャツを着ている。

 

01.暗闇坂むささび変化

今日のライブは合奏形態だが、まずは一人で出てきて弾き語りで「暗闇坂むささび変化」。先日のAlternativeフェスのリハで演奏したのを見てから、はっぴいえんどの音源を繰り返し聴いていたので個人的にとても嬉しいカバー。折坂さんが足をトントンさせてリズムを取るのだけど、小さい会場だからその振動が伝わってくるのも良い。「ももんがーっ」という声が気持ちよく響き渡った。

 

続いて合奏メンバーを呼ぶものの、なかなか登場せず「おーい、仕事だぞー」と呼び寄せる笑

 

02.坂道

今まで弾き語りのライブしか見てこなかったこともあり、何度も何度も聴いた音源に忠実な演奏に素直に感動。当然だが、ギター一本とはまた違った音の広がりがあって楽しい。

 

03.逢引

折坂さんがギターを持たずに歌うというのがとても新鮮。そして迫ってくるような演奏の力強さと折坂さんの声が相まって、とてつもない高揚感におそわれる。この曲の持つパワーは計り知れないと再認識させられる。

 

04.丑の刻ごうごう

05.抱擁

抱擁は春をイメージして作った曲。元々4月のリリースを予定していたらしいが、無理を言って3月の終わりに配信したという話。この曲のゆったりした雰囲気は合奏があることによって何倍にも映える気がして幸せに包まれる。

 

06.櫂

合奏メンバーの演奏を見ているとこんなにも色々な楽器や音の表現が用いられていたのだと驚く。ペットボトルのラベルを剥がす音なども入っていて、レコーディングの風景が垣間見えるようで面白かった。

 

07.take 13

今まであまり注目せずに聞き流していたが、こちらもすごく色々な音で構成された曲なのだと感じた。折坂さんはラジオのザッピングの音を響かせるのだけど、もはや「ラジオを演奏している」という感じで、ラジオも楽器の一部なのかもしれないと思ってしまう。

 

08.さびしさ

「産み落とされたさびしさ」という感情をきちんと理解するのは自分にとってはまだ難しい。ただこの世に産まれた以上付きまとう「死」への恐れとか、自分の生きている理由といったものに真摯に向き合おうとした時に、救いになってくれる曲なのではと感じる。そして改めて詞の表現の美しさにも気付かされた。

 

折坂さんは最近よく悪夢を見るらしい。この間は月が落ちてくるという夢を見て、3日間で月が何倍にも大きく見えるほど接近していて、直に地球にぶつかってしまうというものだった。今の自分の生活とどうリンクしているのかを考えると、元号も時代も変わっていく中で、今後は月に乗り移って生活するような変化があるのだろうという話。そして5月からはこの曲をどうするか考えないといけないですね、と笑う。

 

09.平成

「幸おれたちに多くあれ」という歌詞が胸に響く。新しい元号が発表されてから、漠然と認識していた一つの時代の終わりが急に現実味を帯びてきたように思う。この曲も平成という時代とともに来月には「現在」から「過去」のものになるというのは少し寂しい。でも、それと同時に曲に新たな価値が付与されるのが楽しみでもある。

 

10.旋毛からつま先

 

続いて馬喰町バンドの出番。民族的な曲調に日本的な表現が組み込まれているのがシュールで今までに聴いたことないなと思う。MCが終始「元号」についてだったのも面白かった。

 

アンコールでは折坂さんが再度登場する。馬喰町バンドは折坂さんと数年前に440で一緒にやったが、リハで歌った「安里屋ユンタ」を聴いて当時から「絶対売れるよね」と話していたらしい。馬喰町バンドの曲を全員で歌った後、固い握手をして終演。

今日はお昼のライブだったので外に出るとまだ明るい。休日のこの時間帯にゆったりとライブを見て、まだ色々と行動できるというのはとても幸せだ。レコードストアデイということもあり、ゆっくりとレコードを散策して帰ることにした。

2019.03.30 戸川純 1日早いBIRTHDAYLIVE 2019@新宿LOFT

毎年恒例の純ちゃんのバースデイライブ。もう数え切れないくらい純ちゃんのライブには行っているけど、何度行っても新宿LOFTという大好きな戸川純が観られる空間は自分にとっては非日常的で「慣れる」と言うことがない。今日のライブにはBERAさんの追悼の意が込められていたが、BERAさんという人も自分からするといつもそんな非日常的空間にいる人だから、正直訃報を聞いても実感が湧かないし信じられなかった。

幕が静かに開くと純ちゃんが一人で座っている。何もなかったように始まるのもおかしいからと、BERAさんが亡くなったこと、今日のライブはバースデイというより追悼の意を込めて行うことを説明してメンバーを呼び寄せる。いつもBERAさんがいた場所には盟友のヤマジさん。訃報を受けて、数日後に予定していた岡山の公演も出来ないねって話に一度はなったけど、BERAさんだったら穴を開けて欲しくないと言うだろうと思い、やることにした。でも「ギターがいない」となった時に、ヤマジさんが連絡をくれて本当に1日かそこらで急遽代役として立ってくれることになったという話。

 

01.ヴィールス

 

一曲目は「ヴィールス」。純ちゃんの声は絶好調でファルセットが気持ちよく響きわたる。ただこうしてライブが始まっていつも笑って純ちゃんの横にいたBERAさんがいないのを見て初めて本当に亡くなってしまったんだと実感が湧いてくる。

 

02.ヒステリヤ

03.肉屋のように


純ちゃんは30になる時も40になる時も50になる時も、いきなりなるとショックだから前倒しでなった気になって慣らしていったらしい笑 だから今年で58だけどもう還暦の気でいる。 そうすると還暦を3回やることになるから、実際なっても大丈夫笑 そして歳を重ねたのにロリータというギャグのつもりでやっている曲。

 

04.ロリータ108号

 

バースデイ以外ではあまり聴けないけど、やっぱり純ちゃんには「ロリータ」が似合うなと改めて思う!!声も動きも可愛くて本当に幸せな気持ちになる…。次の曲は「シャルロット・セクサロイドの憂鬱」。純ちゃんにとって「作詞」は、自分の歌いたいような歌詞を書いてくれる人がなかなかいないから自分で書いたら評判が良くてその延長で続いてきたという話。最近はスランプだけど、BERAさんがこのメンバーでアルバム出そうって言ってて出すことになってた、、いや出しますという宣言をしてくれる…!メリィさんもブログに書いていたけど、BERAさんはこんな風にバンドをどんどん引っ張ってきたんだなぁとその存在の大きさを改めて感じる。そしてこの曲はシャルロットゲンズブールから名前を取っているが、それこそ彼女がまだ本当に若い頃に書いた曲で「ロリータ」という共通点がありますね、と。

 

05.シャルロット・セクサロイドの憂鬱

 

この曲を聴くの結構久しぶりな気がする。「生きるほうを選んだのだ」って歌詞にすごく救われるしやっぱり純ちゃんみたいな曲を書く人っていないよなーって改めて思う。そして次は「蛹化の女」。いつもBERAさんが途中いい感じでギターで入ってくるところをヤマジさんがやってくれると言う話をする。

 

06.蛹化の女

 

蛹化の女の音色と純ちゃんの歌声が優しく響きわたる。ヤマジさんは時折目頭を押さえていた。そして今日の純ちゃんは一つ一つの表情が本当に綺麗だ。

純ちゃんいつもはMCで時間を取るのに、今日はMCが少なくて逆にどんどん進んでしまう。いつもだったらBERAさんとのなんてことない掛け合いとかがあったよなーと思って不在を感じてしまう。そして普段はMCで色々話すけど、実はどんな話をしたかは殆ど覚えてなくて、一番最後に言う「家に帰るまでがライブです」というのだけ「言ったな」とかろうじて覚えているという話。


告知。4月はライブはお休みだけど5月には戸川純avecおおくぼけいのライブが控えている。平成が本当に終わるから「好き好き大好き」をどうにかしてやりたいとおおくぼさんに要望されたらしく「でもあんな暴力的な曲をピアノでやるのはなぁ」という純ちゃん。でも「肉屋のように」も曲としてはだいぶ暴力的だよなーと心の中で突っ込みを入れた笑


そして物販のTシャツの話に。ずっと前からデザインは決まっていたけど、後ろを向いて上を見上げてる少し寂しいデザイン。でもばーんと顔が出たふざけたデザイン(僕はあれも大好きだけど!!)じゃなくて、この寂しいデザインだったのが良かったと。そして 「今日は追悼だからメンバーも宣伝でシャツは着てない」と言うんだけど、実は後ろにいる矢壁さんはそのシャツを着ていて、こんな時に「純ちゃん矢壁さん着てるよー!笑」って笑っていう人がいないんだなってまたBERAさんの不在を感じてしまったりした。


6月から関西方面のツアーが控えているという告知もあり、今後も今まで通り精力的に活動してくれることにすごく安心する。そして今日もサイン本を売っているという話をして「もう告知はない?」と石戸さんに確認して、次に行くんだけど「Togawa Ficton」のLP盤の話はー!!とまた心の中でツッコミを入れる笑

 

07.シアーラバーズ

 

山口さんが大活躍する曲。今日は途中の語りの部分がCD音源に忠実で(うまく表現できないけど水の中で喋ってるみたいな感じ)すごくカッコよかった!!!

 

08.フリートーキング

(休憩)

09.バーバラ・セクサロイド


二部一はバーバラセクサロイド。ダンスの時に純ちゃんが何となく目を覆っている気がしたんだけど、歌い終わった後に「前にも言ったことがあるのですが、、」と何かを言いにくそうな様子。そして「今日は年配の男性も多いけど、やっぱりダンディーであって欲しいから、バーバラの振り付けをやるのは、、」とすごく申し訳なさそうにお願いが入った笑笑

 

10.諦念プシガンガ

11.赤い戦車

12.金星


追悼コーナーとして「金星」。BERAさんいなくても何とかなるじゃんってなるのも違うからあえて喪失感を感じるような、いつもBERAさんのギターが際立っていた金星を岡山ではあえてアカペラでやった。ただ今日は手前で喉を酷使しすぎて、この声じゃ追悼にもならないよと。でも裏でメンバー皆が大丈夫だよって言ってくれたからと一番を歌う。でも途中で「あーダメだ」となってしまって、そしたら矢壁さんが「大丈夫!やれるよ!」ってフォローして皆で演奏することに。純ちゃんのアカペラの時はお客さんの涙ぐむ声が響き渡って凄く悲しかったけど、演奏が始まったら純ちゃんもしっかり歌えてて、たぶんBERAさんもこうして明るく歌った方が喜んでるんじゃないかなって勝手に思ったりした。

 

13.大天使のように


追悼2本目。純ちゃんの曲はどうしても恋愛という体裁をとるから、バンドメンバーだったBERAさんに向けるのは少しズレるけど、でも天に上がっていくイメージだから追悼に、と大天使のように。

 

14.月世界旅行


そしていつもバースデイでは今までやってこなかった珍しい曲をやるから、今回は月世界旅行をやると元々決まっていた。でも今日はBERAさんが天国からそのまま月世界にいくようなイメージで「月世界旅行」。わざと子供っぽく歌うという絶妙な外し方が本当に音源そのままで、もう可愛くて最高だった…。

 

15.バージンブルース


BERAさんの訃報の後に何かできることがあればと声をかけてくれたのが元ヤプーズ河野裕一さん。何度も繰り返し映像で見たあの当時のまんまで本当に格好良い。

 

16.好き好き大好き

 

純ちゃんはこのあと5月までライブの予定がないから今日が平成最後の「好き好き大好き」!ベルハーとのツーマンで「俺も~」って合いの手が入った話をしたから、お客さんみんな「俺も~」って言ってて純ちゃんも笑ってた。

 

17.母子受精

18.レーダーマン

 

有志の方がホイッスルを配ってくれたけど今日は流石にふざけ過ぎだからと「電車でGO」はやらずにレーダーマン!!!「ヤプーズの不審な行動」を思わせるような純ちゃんのファルセットが響き渡るのがもうカッコよすぎて会場のテンションもMAXになる!!!

 

アンコール

en.パンク蛹化の女


ラストは勿論パンク蛹化の女。純ちゃんがヤマジさん、中原さん、河野さんと順番にもたれかかっていくんだけど、特に河野さんにもたれかかる姿がヒスのPVを彷彿とさせて嬉しくなる。

そして最後は「家に帰るまでがライブです」と。意味は違うかも知れないけど、こうして家に帰った後に余韻に浸りながら色々思い出すのがすごく幸せだったりする。本当に最高のライブでした…!!

 

※純ちゃんとは直接関係ないけど自分にとってすごくしっくりくるこの曲を貼っておきます

2019.03.16 Alternative Tokyo@渋谷WWW/WWWX

フェスというものをどこか敬遠してしまうところがある。自分にとってライブは普段聞いている音楽を生で楽しむ場所という意味合いが強く、知らないアーティストの知らない曲をいきなり聴かされても正直困ってしまうのだ。昨年友人と行ったBAYCAMP神聖かまってちゃん大森靖子サニーデイ・サービスなど好きなアーティストが多く出ており非常に楽しかったが、見たいアーティストには友達を連れ回し、興味のない深夜の時間帯には疲れ果てて一人キャンプエリアで寝るという我儘を通してしまった。ただ今回は大好きな折坂悠太と、普段から曲を聴く曽我部さん、カネコアヤノ 、トリプルファイヤーが出るとあって参戦の意思は固かった。前回の教訓を活かして好きに回っても誰にも迷惑をかけないように一人で行くことにしたが。

大好きなアーティストの場合は開場時間ぴったりに着いて、整理番号が呼ばれるのを待ってなるべく早く入って、良い場所で見たい、と欲が働きまくるが、今日のような場合は顔が少し見えるくらいの位置で見られればいいや、と心に余裕がある。こういったガツガツしすぎないでさらっと楽しむ余裕が実は大事な気がしていて、これがフェスならではの楽しみ方なのかもしれないなと思う。開場から30分程経った頃にWWWに到着。リストバンドを付けて中に入るとエスニック系の香辛料の香りがする。ライブハウスのフードは美味しそうだけど一人の時にはあまり食べようという気にならない。

 

◼︎カネコアヤノ 

TLや雑誌などで名前をよく見かけ、昨年の終わりにSportifyで「祝祭」をダウンロードして聴いていたがライブを観るのは初めて。家の近くにある古書店を彼女のマネージャーが営んでいるとか、挫・人間の下川君の後輩?であるといった前情報もあって、いつかライブを見たいと思っていたので機会に恵まれたのはよかった。

最初の曲は「ごあいさつ」。正直、後に載せているセットリストを見るまで曲の名前は知らなかったが「祝祭」で聴き覚えのある曲。そして意外なのは感情の表現が自分が想像していた以上に豊かであること。カネコアヤノの声はJITTERIN'JINNに似ているなーというのが音源を聴いていての印象で、あっさりとサラリと歌うイメージがあったが、表情や歌い方を見ていると「情念系」という言葉の方がしっくりくる気がする。この雰囲気はとても好きだ。

また先にも書いたように普段の自分は聞き込んでいない知らない曲はあまり楽しめないのだが、カネコアヤノの場合は違った。特に「天使とスーパーカー」という曲は会場の空気を一気に変えるパワーがあって自然と身体がリズムを取ってしまう。この曲と似た雰囲気で演った「恋しい日々」も音源とはまた違う荒々しさがあって良かった。そしてこれは折坂悠太も同じだが、この人の声は、歌っているというより「楽器を奏でている」という表現が当てはまる気がする。言葉よりもまず心地の良い音として耳に入ってきて身体がスッと受け入れる感じがあるのだ。そして個人的に一番感動したのが「エメラルド」。フワフワとした優しい雰囲気とそれにぴったりの笑顔が最高で、多幸感に包まれた。

 

詳細なセットリストはTwitterに上げている方がいたので拝借させて頂きます。こうしてあげてくれる人がいるのは本当にありがたいなと思う。

 

◼︎折坂悠太

心の余裕が大事と書いたのに、好きなアーティストとなるとやはりガツガツしてしまい、裏のトリプルファイヤーを観るのを諦めて最前列で待機する。ただ、こうやって柔軟に動けば良い場所が確保できるのもフェスのいいところだ。(書いていて思ったがこれは全く柔軟な動き方ではない)。

暫くするとリハーサルが始まり折坂さんが出てくる。リハというのは面白いもので、最前列で見るほど楽しみにしているはずの人が目の前にいるのに、自分を含め観客みんなが何となく素知らぬ素振りをしている。こういうところに日本人の良さがあるのかも知れないが。ただ「風になりたい」を歌い出すと流石に知らんぷりに限界がきて聴き入ってしまう。更に次の「暗闇坂むささび変化」では、そんな心を見透かすように歌詞を即興で変えてこちらに語りかけてくる。「裏ではどなたがやるんでしょうか〜きっと素敵なアクトだと思うが、どうかそのままそこにいて帰らないで〜」といったような内容で笑いが起きる。

一度はけてから改めて本番。今日の折坂さんはいつもとは違いコートを着ている。そして一曲目は「揺れる」。この曲を聴くと、忘れていた色々なことを思い出す。折坂さんと同じくそもそも平成生まれの自分にはまだあまり実感が湧かないが、もう暫くすると「平成」という時に起きたことは全て、一つ前の時代の過去の話になっていくのだろうか、などと考える。

そして次は神保町視聴室でも聞いた新曲。「握る手の温かさ」というようなフレーズから始まったかと思う。素敵で印象的なメロディの部分があっていつかされるであろう音源のリリースが楽しみ。歌詞もじっくりと読みたい。

イ・ランさんがMCで折坂さんからメールが返ってこないという話をしたらしいのだが、その頃は鬱の期間でメールの返信が滞ってしまっていたとのこと。散らかっていた部屋を綺麗にしたら調子が戻ったが、今はまた沈んでいるらしい。自分もたまに鬱になるが本当に原因がよく分からず、駄目なのは分かっているのにどうにもならず焦燥していってしまう。でもそんな日々の中でも作曲活動を続けてくれるのはありがたいなと思う。

「平成」では今日の日付や渋谷の情景を歌詞に合わせて口上のように歌い上げる。そしてたぶん自分は平成の世でこの曲を生で聴くのが最後だということに気付き、一つの時代の終わりを改めて思い知らされる。「幸皆様に多くあれ」という言葉が嬉しかった。

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後に予定が控えていたので結局きちんと観られたのはこの二人だけだったが満足度はとても高かった。そして帰りに物販を覗いたらトリプルファイヤーの吉田くんが当然のように座ってグッズを売っている。そもそもライブを見てないし話しかけるのもなんか違うのでスルーしたが、こういう非日常的な体験が溢れているからライブって素晴らしいなと思うのである。

2019.02.16 折坂悠太/butaji@神保町視聴室

神保町に試聴室というのがあるのは前から知っていたが今までずっと行く機会がなく、訪れるのは今日が初めて。この辺りは慣れ親しんだ土地だけど、足を運んでみて、こんなところにライブハウスがあったのかと驚く。中に入ると本当に簡単な作りになってて、まさに「箱」という感じ。ただ、いい感じに高低差が付いていて後ろからでもステージは見やすい。そしてここは控え室が無いようで当然のように折坂さんが物販スペースにいてびっくりする。


『坂道』

『逢引』


「平成」の中でも「夜学」と並んで文学的で異彩を放つ大好きな曲だけど、初めて生で聴けた!ライブがCDの音源の完成度を悠々と超えてくるのも折坂悠太の魅力の一つだと思う。


MC。試聴室はライブを初めて二回目くらいで出て、それからも定期的に出演していたという話。折坂さん曰く、とても独特な音の響きがする箱らしい。そして編集ソフトでリバーブをかける時に特定のライブ会場の響き方がデフォルトで登録されていることがあり、試聴室も選択肢にあればいいのにと思うとのこと笑 butajiさんとは過去に何度もライブで一緒になってるけど、昨年の対談で初めてちゃんと話をした。その時は理由もなく気分が停滞してて、対談をするような気分じゃなかったけどbutajiさんと話してるうちに楽になったらしい。

 

数週間前にインフルエンザにかかって家から出られなくなって、日常の大切さを噛み締めた。次の曲はそんな普段続いている日常を思いながら作った新しい曲。


『(新曲)』


「湯気ひとすじ」とも通ずるところのあるような優しくて心地の良い曲。「ぽんぽんぽん」みたいな歌詞の部分が印象的だった。


『呼び名』


聴く度にまるで子守唄のような安堵感に包まれる曲。この幸せな気分のまま眠りにつきたいような気持ちにさせられる。


『平成』

『きゅびずむ』


久しぶりの曲を演りますといって「きゅびずむ」!!折坂さんの曲を聴き始めた頃に楽しげな雰囲気が気に入ってからずっと大好きな曲。いつか生で聴きたいと思ってたから本当に嬉しかった…!


『丑の刻ごうごう』


そして「きゅびずむ」からのこの流れは堪らない…。折坂さんの叫び声の聴き心地のよさ。

 

『少年(浅川マキカバー)』

(※追記:Twitterを見てたらどうやら浅川マキさんの曲らしく、やはりカバーだった!)


『さびしさ』


一曲(カバーかな?)挟んでから「さびしさ」。後のMCでも言ってたけど、折坂さんの作品の根底には「孤独」という大きなテーマがあるのだなとこの曲を聴きながら改めて思う。でも「孤独」とか「寂しさ」について歌う折坂さんが笑顔なのは素敵だ。


二月に行った沖縄では道に寝そべったり、座り込んで自問自答したりしている人を見た。沖縄ではゆっくりと時間が流れるというが本当にその通りで、でもそこにはやっぱり過去の辛い体験があって、、と言って多くを語らずに曲に移る。


安里屋ユンタ

『鳥』

『光』


アルバム「平成」のラストを飾るこの曲。今までのライブでは「さびしさ」がラストに来ることが多かったけど、この曲で終わるのもしっくりくる。独特なメロディと歌詞が心に残る。


休憩中に「あけぼの」のCDを購入し物販にいる折坂さんにちゃっかりサインをして貰う。Sportifyには歌詞が登録されてなかったから、大好きな「きゅびずむ」の歌詞がこれでやっと判明するのが嬉しい笑


続いてbutajiさんの出番。途中で話されていた曲のエピソードは特に自分と通ずるところがあって、またその体験をある種あっさりと話してしまうところにbutajiさんの優しい人柄が表れている気がした。そしてあの歌詞は心に響くものがあった。


アンコール。事前にも表明があったようにbutajiさんと一緒に折坂さんも登場。「歌手という職業の良いところは、普段は全く連絡を取り合わなくても親戚みたいにこうして会えるところですね」と折坂さんが言うんだけど、会ってなくてもネットニュースで折坂さんの動向を見ていたと言うbutajiさん笑 二人のMCは絶妙に噛み合わない部分があって、でもそのおかげで、とてもほのぼのとした時間が流れていたように思う。折坂さんが何となくツッコミ役に回っている感じだったのも良かったな。


『Letters(宇多田ヒカルカバー)』


大袈裟じゃなく、自分が今までに聴いたカバーの中で一番良かったんじゃないかと思った。原曲と同じなのは歌詞とメロディーだけで、そこに異なる歌い方とアレンジが足されると、こんなにも別の次元で曲が広がりを持っていくのかと心の底から驚く。そして二人の声のハーモニーは、ずっとこのユニットで活動してきたんじゃないかというくらい絶妙で素晴らしかった。普段のライブでは演らない曲、普段にはない組み合わせが偶発的に生まれるからツーマンはやはり良いなと思う。またいつかこの二人でライブをやって欲しい。

2019.01.27 折坂悠太@渋谷7thFLOOR

前回に続き今日も日曜日のお昼っていう最高の時間帯のライブ!O-nestには来たことあるけど一つ上の階の7th FLOORには初参戦だった。日中ということで陽の光が差し込む座席がとても心地よい。


時間になると折坂さんが登場。ステージに上がり深々とお辞儀するのがいつもとても印象的。そして「こんにちは」と言って少し黙る折坂さん。みんな「こんにちは」と返すべきか少し迷った感じになって笑いが起きる。

「今日は間違えずに言えました。いつも昼のライブでもこんばんはって言ってしまって突っ込みが入るので。」落ち着いた優しい話し方が良いなぁと思う。

 

『I Love You Porgy〜平成』


たぶんこれは自分にとっての「平成」という世のテーマソングになる気がする。どこか寂しくて、でも希望を孕んでいる感じで本当に好きだ。

 

『坂道』

『窓』


MC。尾島さんとは京都で初めて一緒になってからすぐに三鷹のおんがくのじかんで会ったり、今回も、ハンドメイドフェスに出てすぐに一緒になったりと、局地集中的に会うことが多いという話。

 

『丑の刻ごうごう』


とても身一つとギターだけの演奏とは信じられないような音と表現の広がりに驚く。曲に情景が付いてくるようでその素晴らしさに圧巻された…。


『あさま』


限りなく自然体に近い気がする曲。お昼の時間に聴くのが凄くしっくりくる。ゆったりと座って見られているのもあって、自分が喧騒の街渋谷にいることを忘れる。


『よるべ』

『さびしさ』

『道』


続いて尾島さんの出番に。尾島さんは全くの初見だったのだけど、楽器のような歌声が心地よい。『悪い子供 いい大人』という曲が心に刺さってくるようですごく良かった。


アンコール


折坂さんを迎え入れてのアンコール!今日は二人が共通して好きな歌手、友川カズキさんのカバーをやるという宣言。二人とも共演したことがあり、誤解を恐れずに言うなら「面白おじさん」笑。今日は尾島さんもカバーしている曲をやりますとのこと。


『夢のラップもういっちょ(友川カズキ)』


折坂さんと尾島さん、二人の雰囲気はすごく似ているなーと思って観ていたのだけど、アンコールでは二人の歌い方の違いがはっきり出ていて、そのコントラストが最高だった…!!


終演後しばらくすると物販に折坂さんが出てきて、前回と同様サイン会に移行する。この状況を折坂さんが良しとしてるのかは気になるところだけど、、笑

持っていなかった馬市のLPにサインをお願いすると「お名前は?」と聞いてくれて、自分の名前を書いてもらえた…!最高に幸せな週末になりました。

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2019.01.13 折坂悠太@東京ビッグサイト

東京ビッグサイトは数年前に就活の合同説明会で行ったきりだったけど、今日も就活イベントをやっているらしく、駅前で「大学生ですかー」と話しかけられた笑

今日のライブはハンドメイドフェスという販売会の一角にステージが設営されていて、ステージの近くに座って見るというのが新鮮だった。自分も座って待っていると間もなく折坂さんが登場。

 

ロックンロール(くるり)

安いバーボン(松井文)

 

「リハーサルです」と言ってこの二曲を弾き語り。歌いながら合間に「声の返しもう少し小さくして下さい」と指示を出すんだけど、普段の声と歌声とのギャップに驚く笑 そして、くるりの岸田さんと喫茶店で偶然会ったというエピソード。

 

1.坂道

2.旋毛からつま先

 

折坂さんはハンドメイドフェスも東京ビッグサイトに来るのも初めてとのこと。「ビックサイトは神殿みたいですごい。モノ作りをする人はみんなそれぞれ自分の宇宙を持っていると思っているから、今日はその宇宙がこの神殿に集まっている」というお話。表現が素敵だなーと思う。

 

3.呼び名

 

今日のライブは日曜日の14時過ぎっていう素晴らしい時間帯。折坂さんの微睡みを誘うような歌声が心地良い。

 

4.轍

 

ラジカセのザッピングの音を響かせながらアカペラで轍。民族的な曲調とラジオのザッピングの組み合わせが面白かった。

 

5.道

6.鳥

7.安里屋ユンタ

 

沖縄民謡を歌ってるのに沖縄に行ったことがなかったけど二月に行くことになっているという話。そして昨年、投げ銭ツアーというものをやって各地を回る中でモノを作る人に沢山あって勇気をもらった。そこであった人を想いながら作ったのが「さびしさ」

 

8.さびしさ

 

終演後にグッズの販売とミニサイン会があり折坂さんと少しだけお話ができて感激!!次回のライブも楽しみだー!!

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